去る霜月五日、茶人の正月とも言われております炉開きの時期、木々の葉も色づく折柄、養和会青山教室にて、五藤宗紫先生御指導による「口切の茶事 特別稽古」を行いました。
口切の茶事に招かれることは茶人としての栄誉であるが故、生徒さんも心持ち緊張の面持ちで参加されました。
初座の床には淡々斎筆による「喜色満乾坤」の一行物の脇に茶壺が飾られ、皆様が粛々と席入りされました。
丸久小山園の碾茶を入れた茶壺にはしっかりと封がされており、入日記が連客に廻され亭主が茶壺の蓋を開けた時は、皆様から何とも言えぬ溜息が漏れました。
三友居による懐石を頂いている間、水屋からは茶臼を回す音が聞こえ、徐々に濃茶への期待が高まります。ゆっくりと亭主が練られた濃茶を、恭しく一啜された正客の「美味しゅうございます」の一声には、今までの期待が思わず声になってあらわれた様でした。
宗旦忌には茶師が今日庵に茶壺をお届けする際、柿と栗を手土産に持参する事に因み、主菓子は満天星一休製の「杣の木洩日」という干し柿の中に栗が入った珍しいもの。
皆さまは亀屋伊織製の「吹寄せ」と共に、数々のお道具の眼福を味わったことでしょう。
御指導された五藤宗紫先生はじめ、今村宗和先生、味岡宗靖先生、参加された皆様、大変お疲れ様でございました。