平成二十六年 甲午
新年明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
1月10日、明治記念館にて、今年も養和会 稽古始を恙なく終えることができました。
一般的には新年最初に釜をかけて茶を点てるため、御初釜とも呼ばれますが、
養和会では塩月宗芯師の実家でもある「京都の御家元で行われるものを初釜と呼ぶ」ということで、長年、稽古始と呼称しております。
今年も多くの御招待客の皆様とお弟子さんがお見えになり、400名近くの方々をお迎えすることができました。
画像は濃茶席の迎付 午嵯峨面 漢時代加彩馬 晩白柚
※この画像のみ 淡交社 門前様よりご提供いただきました。いつもありがとうございます。
また、毎年時期が早いにも関わらず、立派な葉付きの晩白柚を手配して送ってくださりますお嫁様のご実家にも御礼申し上げます。
濃茶席は塩月宗芯師と五藤宗紫先生が席主。
8回目(!!!)の年女であります、数えで96歳の弥栄子先生。昨年は著作『思いのままに生きなさい』のPR効果で、多くの媒体に露出、講演会もこなし、より精力的にご活躍されました。入門して日が浅い方も、旧知の方々も師の元気な姿を見て安心しながら励みとし、弥栄子先生もまた皆様にお会いして活力を充たします。
五藤先生の流麗なお点前と親子ならではのカラリとしたジョークを楽しみにされている方も多く、宗家所縁のお道具と共に皆様をおもてなしいたしました。
ちなみに五藤先生は毎年、濃茶席の待合、迎付、床、点心の室礼と、前日の遅い搬入から限られた時間の中でフル回転しておられます。お世辞抜きの感想などお伝えしていただければ、師のモチベーションが持続できると思われますので、皆様どうぞ忌憚なきご意見をお寄せくださいませ<m(____)m>
銀座のギャラリー一穂堂にて、弥栄子先生がお気に召されたものを基に、五藤先生がデザインした結界。作家の松崎融さんがこの日に合わせて製作して頂きました。
座る位置によっては五藤先生のお点前が見えづらいこともあり、結界に透かしを入れてあるのが特徴。弥栄子先生がプロデュースした“華さび台”がお目見えする稽古始ならではの結界です。
当初は、宗芯手製の陶器片を埋め込みたかったとのことですが、今回は松崎さんの弟である陶芸家の松崎建さんの作品が埋め込まれています。時代のお道具が並ぶ取り合わせの中にも、お客様のことを思いやりながら、新しい風を吹き込まれています。
鶴亀の間では、今村宗和先生が薄茶席を担当されました。
干支の「午」に、お勅題の「静」をかけて、茶席のテーマに『平家物語』~宇治川の先陣争い~に登場する名馬、“生食(いけづき)・磨墨(するすみ)”を選ばれました。
子馬とはぐれてしまった母馬が、水面に映った自分の姿を子馬だと思い飛び込みおぼれ死んでしまう。その子馬は母を探し求めて走り回るうちに逞しくなり、後に源頼朝の愛馬、磨墨となる。
その後、梶原景季に与えられ、佐々木 高綱の駆る生食と共に宇治川の戦いでの先陣を争う伝承は、大塚春嶺の軸にも描かれています。
床の間は塩月宗芯筆 松、花入は前端雅峯作 鶴亀蒔絵枡、香合は永楽作 琵琶。
干菓子は赤坂塩野製 絵馬と流水
茶杓は塩月宗芯師作 銘 響
主茶碗は利茶土ミルグリム作 黒織部 銘 スル墨
おめでたい中にも遊び心が感じられる取り合わせです。
毎年、男子クラスは業躰部出身の村田宗実先生と、淡交会東京第五東支部幹事長の増田宗裕先生が中心になって担当されます。金曜日開催でなかなかお勤めの男性は参加しづらいのですが、もともとお茶は男性中心だったもの。今後もより多くの男性に参加していただくよう精進いたします。
淡々斎筆 皇風洽萬邦 鐙花入 日の丸香合に点茶盤で男性らしい堂々としたお点前でおもてなしです。
毎年誕生日には素敵なバラの花束を届けてくださる
河野洋平先生もご多忙の中駆けつけてくださりました。
まるで恋人との逢瀬のように喜ぶ弥栄子先生です。
いつもいつもありがとうございます。
心より御礼申し上げます。
いつもお世話になっている税理士の渡邊さんと、ご友人の中田英寿さんも4年ぶりにご参加くださりました。中田さんには今後もますます日本の伝統文化、職人の技術を世界にPRしてもらうべく、微力ですが陰ながら応援させていただきます。
こちらではすべてご紹介しきれませんが、ご参加いただいた各界の御招待客の皆様にも、この場を借りて御礼申し上げます。
当日各席で尽力された皆様、大変お疲れ様でした。
大寄せの茶会を一席受け持つことで、ご案内から水屋、お点前まで、いろいろな気働きや段取りのお勉強になったのではないかと思います。
平成27年の養和会稽古始は、1月9日金曜、明治記念館にて行う予定です。