8月3日~5日の3日間、ここ青山のお稽古場にて夏の特別企画『涼芯会』を開催いたしました。 御年94歳の弥栄子先生、変わらずお達者ではありますが元気の源はやはり
“外に出て人と会うこと”
「普段なかなかお目にかかれない皆様とお会いできれば・・・」 ということで、
御宗家ゆかりの道具で取り合わせた夏の室礼と共に、
小学館『和樂』の連載でも話題となった思い出の品や写真などを展示。
弥栄子先生とのひと時を楽しんでいただこうと企画いたしました。
今回のご案内対象者は、青山教室と産経学園、NHK文化センター、京王友の会、昭和女子大カルチャースクールに通う生徒さんたち。助手の先生方によりご案内いただきました。
範囲を限定しないとパンクしてしまいますので、今回は一般公開を見送った次第です。
展覧席の床には、団扇に伸びやかな「風」の一文字。
立秋が近いとはいえ外はまだまだ猛暑が続く毎日、少しでも皆様に涼しくなっていただければ…・と弥栄子先生のお心づかいで涼芯会のために自らしたためて頂きました。
弥栄子先生作の籠に五藤宗紫先生が涼しげに花を活け、香合は木地の曲に撫子の絵が描かれたもの。
この時点ではちょうどオリンピックの女子サッカー〈なでしこジャパン〉が勝ち進んでいるとき。小粋な演出のお出迎えも弥栄子先生ならではです。
淡々斎手捏の馬盥型黒楽茶碗、
銘「渓聲(けいせい)」
鵬雲斎大宗匠作の茶杓、銘「阿呂波(アロハ)」
桜井宗養先生の箱書きがある弥栄子先生作の
信楽平水指と夏の道具組は御宗家ならでは。
室礼展示の次には、和樂の連載でも一部公開している弥栄子先生と御宗家の写真とゆかりの品々、そして塩月宗芯作の茶道具が展示され、見応え十分の展示を堪能していただきながら、予約された時間に順番に弥栄子先生の待つ四畳半の茶室へとお招きします。
※各写真をクリックすると説明文が表示されます。
淡々斎筆『陽和』
養和会は最初こちらの“陽和”だったとの事ですが、弥栄子先生の御母堂、清香院さまが「弥栄子がこれ以上陽気、元気になったら困ります。」と和を養う“養和”になったという裏話も、弥栄子先生がじかに話されると、茶席の中は笑い声に包まれます。
今回は夏の趣向として、丸久小山園の冷水点て用抹茶「泡楽」を皆様に召し上がって頂きました。 冷たい抹茶を飲まれたことがない方も多く、驚嘆とともにその心配りに感激していただけたご様子でした。
そしてお菓子は石川県の行松旭松堂さんの震災復興支援の干菓子『絆』
うさぎ年に起きた震災を忘れないよう、元気に前に進むうさぎに習い、ツキ(月、運)を呼び込んで復興に向けて前進して行こうとの想いがうさぎの形に込められています。
弥栄子先生が先日の裏千家サマーコンファレンスに参加された際お気に召され、生徒の皆様にもぜひ食べていただこうと、取り寄せました。
こちらのお菓子は売上の8割以上を震災復興支援の募金に充てられるとのことで、11年後の兎年まで継続的な支援活動を地道に行っていくとのことです。養和会としても今後も協力していきたいと考えております。
もうひとつはいつもお世話になっている鶴屋吉信さんの青苔。鵬雲斎大宗匠命名のお菓子です。
塩月宗芯好の溜塗盆に乗せて
94歳の師匠と90歳の高弟、京王プラザホテル水曜夜クラスを担当していただいている丸谷宗雅先生。本当にお若くてお元気です。撮影時のお二人は少女のそれと同じはしゃぎようで、失礼を承知の上で書かせていただきますと、とてもかわいらしくほのぼのといたしました。これぞあほうかしこの極みと申せましょう。
今回の涼芯会には3日間で約130人の皆様にご来場いただき、皆様には御好評いただきました。 次回開催は未定ですが、若い皆様からエネルギーを充電させていただいた弥栄子先生もご満悦で、「2、3カ月に1回はやりたいわねぇ!」と広言してらっしゃいましたので、今後もみなさんに楽しんでいただく企画をご案内させていただきます。
現在、茶事の特別稽古を企画中です。ご興味ある方は事務局まで随時お問い合わせくださいませ。